プロジェクトNISEKO
地域資源循環型クリーン農業を目指して
クリーン農業の宣言 地域資源循環システム 堆肥化の手順
Yes Claen実践集団 堆肥化システムの構築 堆肥化プロジェクト
データマップ 堆肥化センター 水分調整資材(木材破砕チップ)
ニセコ町は、北海道の推奨する「クリーン農業」をいち早く取り入れ、
有機性資源の地域循環体系を組み込んだ「地域土づくりシステム」の構築に取り組んでいます。

                                  
By : クリスマスが過ぎた4040サンタ
1 小さな町だからできること、できないこと

北海道の南西部、羊蹄山麓に位置するニセコ町は、
新千歳空港及び札幌市から車で約2時間の距離にあり、
人口4,600人、面積197km2、その16%が農用地の中山間地域で、
農業と観光を基幹産業とし「通年リゾート地」としての側面も有している。
年間14mを超える降雪量、2mもの積雪量と根雪期間150日間、
最高気温30℃前後の夏季冷涼な気象特性を有するニセコ町農業は
概ね「200戸の農家が、2,000haの生産農用地から、約30億円の粗生産額」と概括される。
項目 1990年 1995年 2000年
農家戸数(戸)
専業農家率(%)
販売農家数(戸)
314
33.8
258
256
30.0
232
205
35.0
181
耕地規模(f)
生産農用地(f)
3,140
2,280
2,980
1,817
2,880
1,975
農業粗生産額(百万円)
   米  (%)
  いも類 (%)
  野菜類 (%)
  畜  産 (%)
3,344



3,008
18.3
36.4
18.3
17.8
2,750
16.4
30.1
24.2
17.6

地域農業が抱える課題としては
@年に10戸を超える農家・農業者の減少が引き続き、埋めるほどの後継者は確保されていない
A耕地規模を大きく下回った生産農用地で、遊休農地が増加傾向にある
B少しの豊凶でもダイレクトに影響するほど硬直化した農家経済にある。


2 二セコ町土づくり実践対策

さる農家の青年が、
二セコは開拓100年そこそこの歴史の中にあって
先々代が開墾し築いた田畑を、先代が機械化と生産性追求の結果食い潰してしまった。
次の代へ渡すまでにどれだけ回復できるか、これが自分の使命
」。
この言葉が、今日の「土」「作物」から見た実態かもしれません。
ニセコ町での「土づくり実践対策」は、地元JAと町の協同事業として1983年にスタート、
本年度(第四期土づくり実践対策事業)では推進事業を含めて事業費 1,100万円程を計上。
20年間ほどの実施期間に「有機物確保対策」「緑肥鋤き込み対策」など、
堆肥の流通助成を主として推進している。
しかし、堆肥の充足率は1/2以下と依然として不足しており、
更なる未利用資源の活用や輪作へ組み込んだ休閑緑肥栽培など、
特に有機物の確保対策が引き続き重要となっている。
過去には、耕種家を対象とした「堆肥盤」の整備を推進、
ほぼ全農家のほ場図を作成しほ場管理などへ活用している。
また、粘土系土壌が多いこと、農業機械の大型化に伴う排水・作土改良対策として、
土層改良や暗渠排水、区画整理なども別途推進するほか、
当地域の特性としてセンチュウ類やバーティシリウム菌など土壌伝染性病害虫対策も特記される。


3 「明日の農業を考える会」の挑戦と成果

町内の農業者にて組織される「明日の農業を考える会」が活動するが、
地域農業が生き残る途として、消費者の信頼を得た産地たるべく
消費者と生産との交流、町内農業者の連携などを通じて、
「食の安全」「農業の責任」を学ぼう(追及)とするもので、食と農を考える塾を開催、
テーマを「正直な生産者(全てを明らかに伝える)と、賢い消費者(正しく判断する)
として研修会や交流を重ねている。
この過程で、「健全な食(=作物)は、健康な土から」を確認、
やがて議論は「土づくり」へと集約され、誰しもが「土づくりは必要」「堆肥は有益」と口を揃えます。
堆肥流通の実態は、酪農家と耕種農家にて麦稈などとの交換方式を主としているが、
未完熟な状態であったり、雑草種子の混入など品質への課題も指摘されていた。
「堆肥本来の価値は…」「完熟堆肥とは…」とメンバー自らが運搬し、
切り返し管理など集約的な堆肥づくりに取り組んだのです。
その過程で、トン当たり6,000円を超える堆肥コストを確認、
水分調整資材として産業廃棄物であった抜根の破砕チップを活用するなど、
今では民間業者との連携にて、「酪農家の堆肥舎から耕種農家の堆肥盤・田畑までを担う」
仕組みが定着を見せています。
この成果が、後段の堆肥化センター構想とその実現へ大きく貢献している。


4 まとめ

多様な土づくり方策の一つである堆肥は、
@10年連用して初めて堆肥効果が実証されるほど息の長い対策であり、
だからこそ運動であり、支援も必要にあるのではないかと考えられる。
A[健康][安全][安心]への消費ニーズ、「顔の見える農業}など、
今後の農業・農村の進むべき方向には違いのないこと。
消費者ニーズへ応えるとともに、地域農業の戦略にも成りうるものと考える。
一方、使い方を間違えると毒にもなりうるもので、
有機物の機能と役割(限界)を知って付き合うべきであり、
だからこそ科学的な評価や診断の手法を組み込んだ「クリーン農業」「地域資源循環」システムが
地域農業の未来に大きく影響してくると考えている。


2003年9月